2025年のパナソニックオープンレディースで優勝を飾った女子プロゴルファー・菅沼菜々選手。その彼女が解説した「スイングの基本とミスを減らすためのポイント」が注目を集めています。この記事では、動画内で語られた実践的なノウハウをもとに、スイングを安定させたいアマチュアゴルファーにも再現可能なテクニックを7つの項目に整理して解説します。
アドレスは「左6:右4」の体重配分で安定感を
菅沼プロはアドレス時における重心バランスを「左足6:右足4」に設定しています。足の親指の付け根あたりにやや力を入れる意識で立ち、その体重配分をスイング中も保ち続けるのがポイントです。
ダウンスイングで右足に乗りすぎると「ダフリ」、左足に突っ込みすぎると「トップ」や「チーピン(引っ掛け)」の原因となるため、アドレス時の体重配分をキープすることで、スイング全体が安定します。
グリップは「指」で持ち、力加減は40〜60%
菅沼プロはインターロッキンググリップを採用し、手のひらではなく「指」でクラブを握っています。普段は40%程度の力で握り、インパクト時には自然と60%ほどまで上がると説明しています。
手に力が入りすぎると手打ちになり、スイングの軌道が乱れやすくなるため、柔らかく握って肩を使ったスイングを意識することが重要です。
テイクバックは肩主導で「縦」に回転する
テイクバック(クラブを後方に引く動作)は「肩主導」で行い、横に大きく回すのではなく、コンパクトに縦回転するイメージを持つと説明されました。特にトップポジションでは右脇を開かないように「締める」意識が必要です。
また、首の角度をまっすぐ保ち、余分な力を入れずに自然な体の回転でトップを作ることで、ミスの原因となる過剰な捻転やバランスの崩れを防ぎます。
腰の回転は「押す」ではなく「引く」
菅沼プロは腰の回転において「押す」のではなく「引く」動作が重要であると指摘します。バックスイングでは右腰を後方に引き、ダウンスイングでは左尻を後方に引くように回転させることで、体が左右に流れるのを防ぎます。
このとき、壁や棒を使い、お尻を常に支点に当てるイメージで練習するのが効果的。軸がぶれないことで、再現性の高いスイングが可能になります。
スイング軸は「左股関節」に置く
スイングの軸は「左の股関節」に置くというのが菅沼プロの考え方です。ここに力を入れてバックスイングを行い、そのまま左股関節を中心に回転しながらスイングを完成させます。
一般的に軸を体の中心(みぞおち)に置くゴルファーもいますが、左足に常に体重を乗せている彼女のスイングでは、左軸のほうが安定性が高く、左足下がりの傾斜でも強い球を打つことができます。
フォローでは「ヘッドと頭の引っ張り合い」を意識
スイング後半のフォロースルーでは、「ヘッドと頭が逆方向に引っ張り合う」感覚を持つことが、飛距離と方向性を安定させるコツだと説明されています。
左軸を維持しつつ、思い切って左方向に振り抜くことが重要です。クラブフェースを無理に返すとミスが出やすいため、ナチュラルに左へ振る意識を持つことで、フェード系の球筋が安定します。
縦振りを習得するための「ドリル」紹介
最後に紹介されたのが、シャンクを防ぐためのドリルです。トップからクラブを縦に下ろす動作を習得するため、クラブが寝てしまう癖を防ぐ練習器具を使っています。
クラブのグリップエンドが常におへそを向くように振ることが大切で、スイング軌道の安定と、ミスショットの大幅な軽減が期待できます。
硬い器具ではなく、スティックに「プチプチ」など柔らかい素材を巻いて使用することで、安全に練習できます。
まとめ
菅沼菜々プロのスイングは、細部にわたって理論的かつ実践的な要素が詰まっています。「左足体重の徹底」「体の引きと回転の連動」「縦振り意識による再現性の向上」といった要素は、アマチュアゴルファーにとっても取り入れやすく、再現性の高い内容です。
今回紹介した7つのポイントを自身のスイングに取り入れることで、ミスの少ない安定したプレーが可能になるでしょう。
菅沼菜々プロ紹介
2000年2月10日生 東京都出身
埼玉栄高等学校卒業
2018年プロデビュー
父の影響で5歳からゴルフを始め、ジュニア大会で名を馳せた。名門・埼玉栄高校でゴルフの腕を磨き、2017年の「日本ジュニアゴルフ選手権」を完全制覇した。
2018年のプロテストで一発合格を果たし、2020-21シーズンに初シードを獲得する。2022シーズンは初優勝こそ逃したが、トップ10入りを15度果たし、見事な活躍を見せた。特にFinalラウンドの平均ストロークは全体1位で、勝負どころでの強さが際立っていた。ツアー初優勝は2023年の「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」。同年10月には「マスターズGCレディース」で2勝目を挙げた。
高校2年時に不安障害の一つである『広場恐怖症』を発症。飛行機や新幹線などの公共交通機関での移動に強い恐怖や不安を感じるようになった。ツアーでは、父やマネージャーが運転する車で移動できる大会にのみ参加している。
得意なクラブはパターで、毎夜の“パタ練”も欠かさない。愛称は“なーちゃん”。切り替えの早さと“自称アイドル”という独自のメンタル術を持ち、絶やさない笑顔は自他ともに認めるチャームポイントとなっている。公式Xも頻繁に更新されており、その内面を垣間見ることができる。
出典:ALBA Net