ゴルフは紳士淑女のスポーツと呼ばれ、その楽しさと奥深さゆえに多くの人を惹きつけます。しかしながら、ルールやマナーに無知なままプレーすると、周囲に迷惑をかけたり、恥ずかしい思いをしたりすることも。特に初心者にとって、基本のルールとマナーを正しく理解することは極めて重要です。本記事では、初心者が知っておくべき代表的なマナーとルールを、4つのテーマに分けて解説します。
グリーン上でのマナー
ラインを踏まない
パターを打つ際、ボールとカップを結ぶ仮想線(=ライン)は、非常に繊細なエリアです。このラインを踏むと芝の状態が変化し、他プレーヤーのパットに影響を与えてしまいます。よって、同伴者のパットラインを絶対に踏まないよう、注意深く行動することが求められます。
規則1.2a(プレーヤーの行動基準):ゴルフの精神に基づく行動(他プレーヤーへの配慮)
規則13.1e(他のプレーヤーのプレーの支援または妨害):プレーの妨げとなる行為の禁止
他人の視界に立たない
プレーヤーがパットする際、視界に人影が入ると集中が妨げられます。ラインの後方や前方に立つこと自体はルール違反ではありませんが、マナー違反とされます。立ち位置には十分注意し、プレーの妨げにならないよう配慮しましょう。
規則1.2a(プレーヤーの行動基準):同伴競技者の集中を妨げない配慮
ピッチマークを直す
ピッチマークとは、ボールがグリーンに落ちた際にできるくぼみです。自分のものだけでなく、他人のピッチマークも見つけたら修復するのがマナーです。専用のグリーンフォークを使い、芝の根を持ち上げず、周囲から中心に寄せるように修復しましょう。
規則13.1c(2)(グリーン上の損傷の修復):ボールマーク(ピッチマーク)を修復しても良い
バンカーのマナー
クラブを砂につけない
バンカーとは、砂が敷かれたハザード(障害区域)のことです。アドレス時にクラブを砂に触れさせると、打ちやすくする意図と見なされてルール違反(=ペナルティ)になります。構える際は、クラブヘッドを砂につけないようにしましょう。
規則12.2b(1)ストロークの前に砂にクラブを触れさせてはならない(テスト行為と見なされる)
跡をならす
バンカーでショットを打った後には、クラブや足でできた跡を丁寧にならすことが求められます。レーキ(砂ならし用具)を使って整え、次のプレーヤーが不快な状況にならないよう心がけましょう。
規則12.2b(2):プレーヤーは自分のバンカー内の足跡などを修復することが推奨されているが、次のストロークの準備に直接関係する場合は禁止
脱出できないときの対応
初心者はバンカーから1回で脱出できないケースもあります。プライベートラウンドでは、プレー進行を優先して、ペナルティを受け入れてバンカーの外に出す選択も許容されることがあります。
規則5.6b(プレーのペース):プレーを遅延させない行動を取ることが義務
ティーの差し方
スマートなティーアップ
ティー(Tee)は、ドライバーなどで打つ際にボールを乗せるための台です。初心者は、ティーを刺してからボールを乗せることが多いですが、硬いティーグラウンドではスムーズに刺すことができません。正しい方法は、ボールとティーを一緒に持ち、同時に刺すこと。これによりスマートにプレーを開始できます。
白杭と赤杭の意味と対応
白杭=OB(アウト・オブ・バウンズ)
白杭で示されるエリアの外は、プレー禁止区域=OBとなります。ボールがOBに入った場合は、元の位置から打ち直し(=1打罰)になります。例:ティーショットがOB → 次は3打目として再度ティーショットを行います。
規則18.2b:ボールがアウトオブバウンズに出た場合、1罰打で元の場所から打ち直し
赤杭=ペナルティエリア
赤杭で囲まれたエリア(池・川など)は「レッドペナルティエリア」と呼ばれます。ボールがこの区域に入った場合、横切った地点を起点として、ホールに近づかない方向で2クラブレングス以内にドロップします(=1打罰)。その他の救済方法として、以下の選択肢もあります:
- 元のショット位置から打ち直す
- 境界線横切り地点とホールを結んだ延長線上で後方にドロップ(1クラブレングス内)
規則17.1d(1)〜(3):赤杭(レッドペナルティエリア)での救済オプション(横切った地点から2クラブ以内、元の位置に戻る、後方線上ドロップ)
まとめ
ゴルフを楽しむためには、ルールやマナーの理解は不可欠です。今回紹介した基本的な内容は、すべて初心者がコースに出る前に習得しておくべき知識です。グリーンやバンカーでの振る舞い、ティーアップの方法、白杭・赤杭の処置などをしっかり把握し、周囲のプレーヤーと気持ちよくラウンドを楽しみましょう。