ゴルフスイングの美しさや安定性を追求する多くのアマチュアゴルファーが悩むのが「オーバースイング」です。トップでクラブが振り上がりすぎてしまい、スライスやプッシュアウトなどのミスショットを誘発します。
今回は、女子プロゴルファー・青木香奈子が実践してきた「オーバースイングを防ぐための3つの練習法」をご紹介します。青木プロ自身も過去にオーバースイングで悩んでいた経験があり、そこから克服した具体的なプロセスを基にした練習法は非常に再現性が高く、ゴルファー初心者から上級者まで幅広く有効です。
オーバースイングの直し方 〜体幹主導で振るボール2個ドリル〜
青木プロがまず矯正を始めたのが、腕の使いすぎを抑えるための「ボール2個ドリル」です。
ドリルの内容
地面にボールを2つ並べ、1つは打つ用、もう1つはドリル用として体の前に置きます。クラブを体幹(腹筋や背筋など体の中心の筋肉)を使ってゆっくりバックスイングし、ボールをまっすぐ押す感覚を養います。
青木プロは「手を使うとすぐにボールから外れてしまい、うまく押せませんでした」と語っており、手の動きを極力抑えることがこのドリルの最大のポイントです。
効果と理論
この動作により、クラブを大きな筋肉で支えるフォームが身に付きます。バネのような下半身と連動した動作が作れるため、パワーが効率よく伝わり、クラブがトップで暴れにくくなります。
初心者は特に腕でクラブを上げようとしがちですが、実際は「体幹→腕→クラブ」という順序で動くのが理想です。
右ワキの絞り方〜ヘッドカバードリルでクラブを収める〜
次に紹介されたのが、「ヘッドカバードリル」です。これは右ワキの適切な使い方を覚えることで、トップの位置を安定させ、オーバースイングを防止する練習法です。
実践方法
右ワキにヘッドカバーやグローブを軽く挟み、「絞る」ように右ワキを意識します。青木プロは「窮屈に締めるのではなく、こっちに絞る感じ」と表現しており、脇を締めすぎて不自然になるのを避けるよう注意を促しています。
トップでのクラブの位置は「水平の角度より下に行かないように、絞ることで収まる」と解説。これにより、クラブが背中側まで回りすぎることを防げます。
使用する筋肉と理論的背景
使われるのは広背筋(こうはいきん)という背中の筋肉で、腕を絞るように引く動作に関与します。広背筋を意識的に使うことで、自然とクラブが理想的な位置に収まります。
初心者はこの筋肉の意識が希薄なため、腕だけでクラブを持ち上げてしまう傾向があり、結果としてオーバースイングに陥りやすくなります。
スエーしないコツ〜体重配分と切り返しの起点〜
オーバースイングを克服する上で見逃せないのが、スイング時の「スエー(体の横ズレ)」を防ぐことです。青木プロは特に「乗りすぎてしまう」ことへの注意を促しています。
トップ時の体重配分
理想は「右6:左4」のバランス。構えでは若干左寄りに立ち、バックスイングでは自然に右足内側へ体重が乗るようにします。ここで重要なのが「意図して乗る」のではなく「体とクラブの重さで勝手に乗る」感覚です。
スエー防止のコツ
「内腿に力を入れて耐える」という青木プロの表現通り、大腿部(太もも)の大きな筋肉で体の横ブレを抑えます。これにより、スイング軸を保ったまま体重移動ができます。
また、切り返しでは「腰→お腹→腕→クラブ」の順番で下ろしていきます。手だけで切り返すとクラブが鋭角に入りやすく、ミスショットに繋がります。胴体主導の動きがスイングの再現性を高めます。
まとめ
青木香奈子プロが自らの経験をもとに紹介した3つの練習法は、どれもオーバースイングを確実に改善できる合理的な方法です。
- 腕に頼らない体幹主導の動作を習得する「ボール2個ドリル」
- 右ワキを自然に絞ることでクラブを安定させる「ヘッドカバードリル」
- スエーを防ぎ軸を保つための「体重配分と切り返し」
これらを実践することで、あなたのスイングもよりコンパクトで安定したものに生まれ変わるでしょう。オーバースイングに悩むゴルファーは、ぜひ取り入れてみてください。
青木香奈子プロ紹介
2000年4月11日生まれ 宮崎県出身
身長:166cm
2024年デビュー
10歳からゴルフを始め、高校卒業後は宮崎県・フェニックスカントリークラブで研修生としてキャディ業務をしながら、プロテスト合格を目指していたが、2023年11月に退社。その後は関東に拠点を移し、練習に励んだ。マイナビネクストヒロインゴルフツアーでは1勝を挙げ、年間女王に輝いた。24年に6度目の受験で初めて進出した最終プロテストで合格。25年はステップ・アップ・ツアーが主戦場となる。憧れの選手は米ツアーのネリー・コルダ。
出典:ALBA Net